息子が自殺で亡くなり、父親がとった行動は…

この体験談も仕事柄、明るい話題ばかりではございません…メモリーズでは、この3週間で3件の自殺現場の整理を行いました。自殺の後、残されたご遺族がどれくらいのダメージを与えるかお伝えしたいと思います。
自殺の要因はさまざまです…今回大阪市で30代の男性が部屋で自殺、死後2週間で発見されました。管理会社より連絡を頂き、見積りをしに同行して現場に伺いました。部屋に入ると、故人のお父様が一人で茶を焼いておられました。「消臭には、これが良いと聞いたのでね…」と目を真っ赤にして呟きました。正直、このような現場で効果があるとは思えません…しかし、何かをせずにはいられなかったんだと思います。凄惨な自殺の痕跡が生々しく残る部屋で一人…心中を思うと、掛ける言葉も見つかりません。
しかし、お父様は話し相手ができたので安心したのか「こんな仕打ちがあるか？なんでこんな事に…」と、涙をこぼしながら話ます。「管理会社さん、迷惑掛けてすまん。今回の事はきっちり面倒見ます。そして遺品整理屋さん、あんた社長やったら今、金額言ってくれ、すぐ払うから。こんな事で揉めたら、あの子は成仏しない…」と大声で泣き出しました。

間取りは2LDK、自殺なので特殊清掃に時間が掛かり大変な作業です。しかし、家具や家電製品などがすべて2年以内に購入されている品で、私は買い取れるものが多かったので10万で作業することにしました。するとお父様も管理会社の方も、その安さに大変驚いていました。「わしは、もうここにはこれんよ…」憔悴しきった声でお父様が言い残し退出されました。

帰り際に管理会社の方に「どうして自殺したのでしょうか？生活も困ってない感じでしたが…」と、尋ねると「あくまで推測ですが…」と話してくれました。「縁談が破棄されたようです…」 それから仕事も辞め、引きこもりの生活になられたようです。自殺するまで追い込まれる前に、そのシグナルを察知する人間が回りにいなかった事が残念でなりません。

まだ30歳です、気持ちを切り替える事ができない歳ではないと思ってしまいます。その方の誕生を心から喜び、大事に育て、成長を見届けてきた親御様はどれくらいショックでしょうか。今の時代、自分やその家族の生活の事で精一杯の方は多いと思います。 だけど苦しんでいる身内、友人などいたら、話しを聞いてあげて下さい。ちょっとした会話で、前を向くことは出来ると思うのです。