真夜中の特殊清掃作業

陽もすっかり落ちた19時過ぎに電話が鳴りました。「兄が孤独死したので掃除をお願いしたいのです…近所からクレームが出ているので、すぐ作業して欲しい」と、切羽詰った声でした。すぐにスタッフを呼んで、準備を整えて現場に向かいました。現場は大阪市内にあるアパートの一室で、作業の開始は何と深夜の23時…ご近所の方は寝る時間です。

通常、メモリーズでは19時を過ぎると遺品整理などの片付け作業は致しません。搬出や清掃作業をする時に機材の騒音などで、近隣住民の方からクレームが入り、トラブルになるからです。しかし、特殊清掃の場合は『死臭』の問題を早期に解決する必要があるので対応しています。今回の現場も死後10日程経っていたので、廊下にまで強烈な死臭が充満しています。ここまでの状況になると近隣の方は作業の騒音よりも、臭いを何とかしてほしいので深夜の作業でも理解して頂けます。

部屋に入ると息が出来ないほどの死臭が襲ってきます。かなりの数の蛆虫が発生してしまっていて、じゅうたんには人型の跡があり、その上を蛆虫がうようよしています。これは何とかしないといけない…正義感に燃えて、作業に取り掛かりました。何回かご近所の方と廊下ですれ違い「迷惑かけますがよろしくお願いします」と挨拶しましたが「こんな時間に大変ですが、お願いします」と温かい声を掛けて頂きました。

1Kの間取りとはいえ、深夜に食器を梱包したり、ベランダで作業する時は音を立てないように気を遣いながらの作業だったので、3時間程掛かりましたが無事に作業を終えました。臭いも納まり、ご依頼者様も大家さんも、近隣住民の方々も一安心して頂けたと思います。
「3時間寝れるかな？」「シャワーを浴びるんで、寝れても2時間くらいですかね？」とスタッフと笑いながら現場を後にしました。自宅に着いたのは真夜中3時過ぎ…確かに疲労感はありますが、この様に急な出来事で困っている方をお助け出来た喜びが勝っているので、疲れも吹っ飛びます。