行方不明の兄が…孤独死で発見

大阪市内のマンションで、70代の男性が孤独死されました。現場近くでご依頼主様と待ち合わせをして、一緒に現場まで向かいました。一番上のお兄様が亡くなられたらしく、女性1人、男性2人のご兄弟は 「兄は、気性が荒く離婚しましてねぇ、それから行方不明だったんです。まさか大阪にいるとはね…知りませんでした。警察から連絡があったときは、びっくりしました」と仰っていました。20数年会ってなかったと言うので驚きです。

「この辺ですね」と、土地勘のある私が先頭で現場に案内します。すると角を曲がったあたりから、強烈な死臭が漂ってきました。現場は長屋の一番奥の部屋、そしてその長屋にはお兄様しか住んでいませんでした。手前の部屋は、屋根が落ちてきています。「こんな所に住んでいたんだ…」と妹様はハンカチで目を押えておられました。
玄関を開けて、ご兄弟様が後に続きますが、「おえっ！これは入れん！！」と3人とも表に走って行かれました。布団には人の形がくっきり出ています。数百匹のハエが、私に体当たりしてきます。しかし荷物はかなり少なく、いい暮らしとはいえなかったと思います。表で妹様は号泣しておられました。小さい時に、一番仲良くされておられたそうです。

作業は2時間程で終わり、探し物である不動産の権利証書も見つかり喜んで頂きました。何もなくなった部屋に、ご兄弟様が入ってこられて「人生とは寂しいもんですな…」と弟様が仰ってました。小さい箱に入ったお兄様を、抱いたまま頭を下げる妹様も「大変な仕事ですが、なくてはならない仕事ですね…」と言って下さいました。感謝のお言葉を頂いて、満たされた気分でした。これからも、たくさんの方を助けていきたいと思います。