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孤独死現場で故人の娘がとった行動


ある男性が自宅で孤独死をされ、死後2週間で発見…ご依頼主は離婚されている奥様からでした。「元夫の遺品整理をお願いします」 離婚された場合、このような事後処理を一切放棄されることがほとんどなのですが…。
「孤独死していて、臭いがきついのですが大丈夫ですか?」と心配されていたので 「うちはそれが専門なので、大丈夫ですよ」と答えると、すごく安心されていました。現場は戸建3階住宅で1Fが事務所になっていました。特殊清掃の作業当日、立ち会われた奥様の横には中学生ぐらいの女の子(娘さん)も一緒にきていましたが、心配そうにこちらを見ています。「今、きれいにしてあげるから待っててね」と声を掛けると、小さく頷きました。

亡くなられた現場は2Fの布団の上で、体液がフローリングにまで広がり 蛆虫が大量に発生し、死臭も充満していました。いつも通りに布団を取り除き、体液の掃除を始めようとした時です。娘さんが私が持参していた雑巾を片手に、2Fに上がってきました。臭いがピークに達していて、一般人なら呼吸もしづらい状況です「任してもらっていいよ!すぐきれいにするからね、下で待っててね」と、話しかけましたが、我々の作業をじっと見つめて、私の横に来て、フローリングを拭き始めました。呆然とするスタッフ…尋常ではない臭いのなか「私にとっては、ただ一人の父なので…」泣きながら雑巾掛けをする娘さんの姿に、我々は言葉を失いました。

離婚の経緯や理由はわかりませんが、娘さんが取った行動にはきっと、お父様に対して変わらない気持ちや感謝があったのだと思います。私は感動と共に、すごく幸せな気分になりました。一仕事を終えてジュースを手渡し「お父さんに気持ち伝わったよね?」と尋ねたら、恥ずかしそうに笑っていました。ご遺品の中にはご家族の写真がたくさんあり、故人はまたご家族一緒に暮らしたいと願っていたのかもしれません。

この記事を書いた人

横尾将臣

横尾 将臣
所属:メモリーズ株式会社 大阪本社
役職:代表取締役
資格:グリーフケアアドバイザー1級取得

遺品整理専門業者メモリーズ株式会社の創設者。創業から15年が経った今も、現場の最前線に立ち続けている生粋の遺品整理人。
遺品整理業界のパイオニアとして業界を牽引する一方で、若手育成にも尽力。それらの功績が認められ度々メディアなどに紹介されている。

悲惨な現場でも原状復帰

どんな悲惨な特殊清掃現場でも
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