蛆虫が降ってくる特殊清掃現場

最近は、孤独死の現場が続きます…今日も文化住宅の2階の部屋で、ご高齢の男性が孤独死で亡くなられたと連絡が来ました。ご遺族様は遠縁で遺品すべてを放棄された為に、大家さんがご依頼主です。「こんな古い文化住宅じゃ敷金なんて取ってねぇし、孤独死の後始末なんて大損だよ！」と大家さん…無理もありません。通常の作業より精神的ダメージもありますし、消毒や、害虫駆除 そして消臭などがあるため、コストは高くなります。

手際よく作業をしていると、1階のお住みのおばあちゃんが呼んでいます。「ちょっと兄ちゃん…ちょっと…」 作業を部下に任せ、お話を聞きに行くと「あのね、押入れからハエが出てくるんですよ…わたし気味が悪くて押入れ開けられないんですよ…」 続けて「消毒や害虫駆除するなら、ここもやってもらえませんか？」とのこと。本来なら少しでも料金を頂くところですが、おばあちゃんもとんだ災難にあった訳で、可哀想になり「じゃあ、ついでだけどやっとくよ」と言って、2階の現場が終わってから消毒をする約束をしました。

作業を終え、1階のおばあちゃんに「じゃあ始めますよ」と、部屋に上がっていくと、おばあちゃんの娘様も来られていました。「おばあちゃんが怖がってるので、付き添わせていただきます」 内心「いや…消毒だけですから」と思いながら、何気なく押入れを開けました。
次の瞬間、「ぎゃ～！」と叫んだのは娘様です。私もビックリしました。押入れの布団の上に蛆虫が隙間なく、うようよしているではありませんか…その数、数百…いや、数千匹…まさに天井から蛆虫が降ってくる、異様な光景です。亡くなられた方の体液が、畳を経て、床を超えて流れ落ち、蛆虫が大量発生していました。その一面真っ白になるぐらいの蛆虫の数に鳥肌が立ちました。もう少し発見が遅れ、この数が孵化していたらと思うと…ぞっとします。
部屋を飛び出す親子、私はすぐさま押入れの物を全部出し、蛆虫を掃除機で吸い、完全に除去してきれいに清掃してから消毒作業をしました…予想外のサービス残業です。その日以降、おばあちゃんはしばらく娘様の家に世話になって、新しい家を探すと言っておられました。平穏に暮らされていること祈っております。