呪いの儀式？自殺現場で見た恐怖の光景

その日、特殊清掃の見積り依頼の電話が鳴りました。「自殺なんですけど…大丈夫でしょうか？」「心配要りませんよ、ご供養もちゃんとしますから」など、会話を進めると「ただ、部屋がちょっと…」「ちょっと？？…汚れているんですか？」「すごく汚れているのではなく…ちょっと不気味なんですが…」それ以上語らないご遺族様に対し、とりあえず現場を見させてもらい、その後相談という事にしました。

現場は大阪の某所にある文化住宅の2階にあり、私が到着したのはすっかり陽が落ちた午後7時。すでにご依頼者様が部屋の前でお待ちです。「兄とはここ数年まったく連絡を取っていませんでした…こんな事になるなんて…」弟様はお兄様が自殺したことに対してかなり驚かれ、憔悴しておられます。「では、現場を見させて頂きます」 部屋に入り、見積書を片手に電気のスイッチを入れました。すると部屋が真っ赤になりました。正直「いやらしい性癖をお持ちだったんだな」なんて思ってしまったのですが、奥の部屋を開けて びっくりしました。

大きなお皿に塩が山盛りになって2つ置いています。その盛り塩に蝋燭が数本立っていて、明らかに火をつけた後があります。その奥には小さな祭壇があり、大きな写真に『御札』が巻きつけられています。その写真には綺麗な女性が写ってますが、顔に口紅らしきもので『×印』がしてあります。何気なく裏側を見て震え上がりました…『殺す』。その文字を見て、耐えられない恐怖が襲ってきました。 そして、その横に人の形をした血痕の後があります。部屋全体が赤いライトで照らされていたので気付きませんでしたが、白い壁紙に無数の吹き飛んだ血の跡と、苦しみもがいた壁紙に残る爪の跡…。こんなにビビッてしまった見積は久しぶりです。急いで見積を終わらそうという思いがだんだんと強くなってきます。

見積りを進めていると、祭壇の横にCDラジカセがあり、買取できるのか可動確認をするために、再生のボタンを押しました。すると突然、流れてきたのは「お経」…しかも大音量です。「うわっ！！」と、もう叫ぶしかありませんでした。部屋の外にいた弟様が、いきなり大音量で流れてきた「お経」にびっくりして「大丈夫ですか！」と声をかけてくれます。真っ青な顔をして飛び出した私の顔を見て弟様も目を丸くしていました。怨念漂う自殺現場…百戦錬磨の私でも、恐怖を感じずにはいられません。

いざ作業当日…まだ恐怖心が抜けない私は、独断でお坊さんに来て頂き、作業前にお祓いをしてもらいました。特殊清掃と遺品整理の作業は無事に済みましたが、大家さんの希望もあり、リフォームも弊社でさせて頂きました。ちなみに、すべての遺品は供養してから廃棄しました。