メモリーズ

障がい者の方の孤独死現場


先日、大阪市内で遺品整理作業を行いました。1Kの小さな賃貸物件で、現場は5階にある部屋です。室内は孤独死現場特有の鼻を突く酸っぱい匂いが充満している状態でした。奥に進んでいくと人の排泄物が乾燥し固まった様な色で汚れた布団と衣類、何枚ものタオルや溜まったままの尿瓶が置かれたまま…ひどく散らかった現場でした。ただ、現場は小さい賃貸の一室なので比較的物量はそれほど多くなく、加えて玄関の正面にはエレベーターのある比較的横持ちのし易い状況でしたので、片付けの作業は円滑に進みそうでした。

作業を進めていくと、その現場に住んでおられた方のものであろう遺品が色々と出てきます。束ねられた通帳に無造作に詰め込まれた日付の書かれた薬の袋、写真や日々綴られた日記の様なもの、出かける際に持ち歩いていたであろう小さなカバン…その中には「障がい者手帳」なるものがあり、「ああ、この方は亡くなる間近にはお身体が不自由であったんだな…」と思いました。部屋の灯りを点けるための糸が、蛍光灯から畳の床まで伸びていたので、おそらく思うように身体が起こせなかったのでしょう…横になったままでも部屋の灯りを点けられる様にするための工夫なんだな、と思いました。

順調に作業は進み、畳の床に敷いてあった絨毯の様なものや、亡くなった方の体液などの匂いが染み付いた衣類や物品等を綺麗に片付くと、部屋に広がっていた異臭も驚くほどに消えていました。よく目を凝らすと床には薄っすらとシミが見て取れましたが、その後丁寧に清掃をして吹き上げると、シミも消え、部屋はとてもきれいな状態になりました。
この様な孤独死された現場は世にたくさんあり、その方の遺品からは様々な生活や人生が見えてきます。他人事ではなく孤独死された方の現場は増えていくかと思われます。その様な現場では“弔う”という気持ちをもち、作業に向かう姿勢が大切な事のひとつだなと思いました。

この記事を書いた人

横尾将臣

横尾 将臣
所属:メモリーズ株式会社 大阪本社
役職:代表取締役
資格:グリーフケアアドバイザー1級取得

遺品整理専門業者メモリーズ株式会社の創設者。創業から15年が経った今も、現場の最前線に立ち続けている生粋の遺品整理人。
遺品整理業界のパイオニアとして業界を牽引する一方で、若手育成にも尽力。それらの功績が認められ度々メディアなどに紹介されている。

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