遺品整理の生前予約は切ない気持ちになります

遺品整理は本来、ご遺族様がするもの…それは今も思っています。ご遺族様が遺品整理をするとアルバムなどを見ながら「あの時はこうだった…」など、ご家族が盛り上がったりするのが供養の一つだと思ったりします。遺品整理人はご遺族様の代理人です。故人本人を知らないからこそテキパキ動ける理由でもあります。しかし、生前予約の場合はいつもと違う感情が湧いてしまいます。

今回は行政の方の紹介で、あるご高齢の女性の方の生前予約の見積に伺いました。心臓に病気を抱えておられて、話している時も息が乱れていました。地方に息子様たちがいますが、自分が亡くなった後、一切迷惑を掛けたくないと言う強い気持ちがあり、行政の方に相談してメモリーズを紹介して下さいました。
おばあちゃんは今までの半生を振り返って楽しかったことや悲しかったことなど見積をしている私の隣で一生懸命話してくれます。 息が苦しいのをこらえて、汗をかいて喋ってくれるので行政の方が「落ち着いて」と言うほどでした。感じの良いおばあちゃんで、その素朴な雰囲気に好印象をもちました。行政の方と私にお茶をお盆に乗せると、グラグラしてこぼれそうでした。 一人暮らしをしていて大丈夫かと思うほどでした。

「何もない部屋ですけど、全部ゴミです。死んだらお願いしますね」と目に涙を浮かべ頭を深く下げられると、自分がしている仕事はやはり誇りを持てる仕事だと心から思います。ほんの小一時間会話しましたが、もしこの部屋を遺品整理をするとなったら いつも通り割り切ってテキパキできるか…正直ちょっと不安です。「しっかり食事して暑い夏を乗り越えましょう！」と言うと、笑顔で「はい」と仰っていただきました。人生の終を整理する..それにもっとふさわしい人間に成長したい。つくづく奥の深い仕事だと思います。