見積の時に嘘はダメですよ

遺品整理の見積りをする時に、嘘…つまり過少申告をする方が少なからずおられます。現場を見れば判ることですが、今回のような場合はご依頼者様の言葉を信じて見積りをすることになります。その内容とは、見積時に「この家にある冷蔵庫と食器棚を、自宅のものと入替えたい」と。「配送先はマンションですか？戸建ですか？」とお伺いすると「戸建の1階ですが、階段がちょっとあるんですよ」と言ったので「まあ、玄関まで少しの階段（アプローチ）があるんだな…」と思い、大型品ではありましたが2点だけでしたし、遺品の形見分けということで追加料金なし（サービス）で配送することにしました。

遺品整理の現場は荷物も少なく、困難な作業もなかったので恙無く作業は終了し、スタッフと二人でご依頼主様の家に遺品の配送に向かいました。配送先は山の麓で、トラックで細い山道を随分進みました。しばらくするとお寺の駐車場があり、そこでご依頼主様が待っていました。しかし、周囲に民家らしい建物が見当たりません…。
「家は何処ですか？」と恐る恐る聞くと「ああ、あの階段の上です」と、指差した階段は、なんと数百段はある急な狭い石階段です。「まじですか？階段ちょっとって言いませんでした？」苦笑しながら確認しますが「そうですか？」と微笑み返しをされました…。

これがダンボール１個であれば問題ないですが、何といっても450Lの冷蔵庫と大型の食器棚ですので、不安に襲われます。一緒に来たスタッフも力持ちではなかったのですが、とりあえず食器棚からチャレンジです。上下に分かれるタイプの物ですが、ガラスがあり下手すると割れたり、傷が入りますので、慎重に運び始めます。

半分ぐらいのところで早くもスタッフから泣きが入ります。「ちょっと置いてもいいですか？」握力が無くなってきて、顔は真っ赤になっていました。 何とか食器棚は入替えましたが、冷蔵庫は困難を極めました。 半分ぐらいのところで休憩した時、指が伸びません…持ったままの形から 指が動かないのです。ラグビーの夏合宿を思い出すぐらいきつかったです。後数段の時は、栄養ドリンクのCMを彷彿させるぐらい「ファイト～～～」と、声を出していました。入替えた冷蔵庫を下ろすとき「このまま階段から落としたら楽やのに…」と、真剣に思ったぐらいです。現在、酷い筋肉痛でトイレに行くのも壁伝いです。