メモリーズ

孤独死に至った疎遠の理由


孤独死現場となった荒れ果てた民家 先日1本の電話を頂きました。電話の主は40代の女性で、一人暮らしの母親が孤独死してしまったという相談です。この女性宅からお母様の家まで車で40分ぐらいですが「見積には立ち会いません」との事でしたので、私は委任状を貰い、一人で見積現場に向かいました。現場はかなり田舎で、家を見つけるのに苦労しました。家は全然手入れが行き届いてなくて、家が隠れるぐらい雑草などが生い茂り、人が住んでいるのが不思議なぐらいでした。

部屋に入ると更に驚きました。食料品が家中に散らばっていて、蜘蛛の巣が前進を阻みます…ここ10年ぐらいほったらかしの状態のように思えました。荒れ放題の台所の奥で、お母様は亡くなったようです。私は思いました。お母様は高齢により肉体的、精神的につらく、ご飯も作れなくなっていたのではないかと…誰にも頼れなかったのかと思うと泣けてきました。

逆にご依頼人である娘様は、なぜ連絡を取っていなかったのか不思議に思えました。このような亡くなり方は防げたはずという思いが強くなり、疎遠になった理由を娘様にお伺いしました。
すると…「母親からは幼少時代に虐待があり、どうしても近づけなかった…」と泣きながら話してくれました。私は行き場のない怒りを覚えました。批判するのは簡単ですが、現代ならではの悲劇だと思わざるを得ません。ただ、娘様には「後悔」が見受けられました。お母様にもきっと「後悔」があったはずです。自分の死に様の覚悟はできていますか? 感謝や思いやりの言葉はきっちり伝えた方がいいですね。

この記事を書いた人

横尾将臣

横尾 将臣
所属:メモリーズ株式会社 大阪本社
役職:代表取締役
資格:グリーフケアアドバイザー1級取得

遺品整理専門業者メモリーズ株式会社の創設者。創業から15年が経った今も、現場の最前線に立ち続けている生粋の遺品整理人。
遺品整理業界のパイオニアとして業界を牽引する一方で、若手育成にも尽力。それらの功績が認められ度々メディアなどに紹介されている。

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