ゴミ屋敷は…百聞は一見にしかず

スタッフの金島です。今から10年以上も前のお話…私がまだ遺品整理人として駆け出しの頃の体験談をご紹介します。現場は大阪市内の某所、見事なゴミ屋敷と化したお宅に行きました。その日が初めての「ゴミ屋敷」の見積りでしたが、写真やテレビで見た経験はあっても、膝まで積もったゴミの山を直接見るのは初めてでした。玄関を開けるとすぐにもう、ゴミをよじ登らないといけない状態です。さてさて、平静を装いながらそのお宅に入ります。

すでに電気の止められた室内はよく見えず、間取りさえ確認がままならない始末。プラ系、紙系、収集系など、処分方法の異なるゴミの種類や正確なゴミの量などの判別、今なら簡単に見積もることができますが、当時の私は目の前のゴミの量に圧倒されて、冷静な判断が出来てなかったと思います。早々と外に出ましたが、室内に害虫が発生しているようで、すでに虫に刺されていました。

深呼吸をして冷静さを取り戻し、再度部屋に戻ります…。改めて家の中一杯に溜まったゴミの山を見て、それはこんな風になるまで追い詰められた方の苦しみや悲しみが、ゴミに姿を変えて積もり積もって何かを訴えているのではないかと私は感じました。幸いにも、この時のご高齢のご依頼主様はすでに別の家で生活をしておられましたが、残念なことに、このようなゴミの山の中で孤立死をしてしまう方々も実際におられるのです。

ゴミ屋敷で孤独死されてしまった方々のほとんどが、外部との接触を避けるような生活をしているため人知れず亡くなってしまうことが多いと聞きます。外からはなかなかわからない「ゴミ屋敷」。どんなにたくさんゴミが溜まっていても、 どんなに汚れていてもかまいません。勇気を出して、ぜひ私たちにご相談ください。きれいになったお部屋で生活をリセットし、また元気を取り戻していただきたい、 私は心からそう願い、またそうできると信じています。10年前のこの時の貴重な体験が、今の私のキャリアに活かされていると思います。そして、この時のゴミ屋敷のことを忘れることはありません。