野球好きが功を奏して早期発見

大阪府下の3DKのマンションの遺品整理をしました。ご依頼主はお兄様で、弟様がお亡くなりになったとのことでした。お兄様は関東にお住いで、弟様と直接会うことはほとんどなかったそうですが、お2人ともプロ野球がお好きだったので、頻繁に電話で野球談議はしていたそうです。その日も電話で、クライマックスシリーズの話で盛り上がったそうです。翌日、昨日の話の続きでもしようと弟様に電話をかけますが一向に出る気配が無く、直感的に危険を感じたお兄様は、直ぐに「弟が危ないかもしれないから、家を確認してくれ」と警察に連絡されたそうです。警察が駆け付けると、弟様はお風呂とトイレの間で亡くなられてたそうです。

作業当日、部屋に入ると壁に沿うようにダンボールが積み上がっており、それがテーブルになったり物置になっていました。ゴミ箱は溢れており周りに食料品のから箱やパックが山になっていました。お風呂はカビだらけで真っ白になっており、浴槽の中は抜けた髪の毛で水が流れなくなってトイレは尿石で真っ黒になっていました。残念ながら、健全な生活環境だったとは言えない状況です。
奥の部屋は手前の部屋とは雰囲気が異なり、アイドルの写真やライブのチケットやCDがとても綺麗に収納されておりました。一瞬見ただけでもアイドルや音楽の事が好きだったと分かりました。

いざ作業が始まると、玄関を仕分けしてるスタッフから「色んなところから現金が出てくるから気をつけて」と言われたので私も意識して探していると、キッチンの戸棚やアイドルのライブチケットの間、ゴミ袋の中、衣類のポケットなどから大量の現金が出てきました。手前の部屋が片付き奥の部屋を仕分けし始めると、ものが積み上がってるためお兄様が中身を作業当日まで確認することが出来なかったため一つ一つ確認しながら作業を進めると、大量のアイドルとのツーショット写真が出てきました。私が「残されますか？」と確認すると、お兄様は「写真は持っていてあげたいけど、大量だから捨ててしまってください…」と、お客様は持って帰れる荷物が限られている中持って帰る荷物の選別は大変だと仰られていました。

故人はまだ30代です…死因は心筋梗塞でヒートショックによるものだそうです。独居生活者がこのような状況で亡くなれば、間違いなく孤独死となり、死後数週間で発見されることがほとんどです。しかし野球好きが功を奏して、すぐに発見できたのは不幸中の幸いだったのではないでしょうか。
弟様がなくなられて１ヶ月、関東から大阪の移動や片付けのことなど色々なことがある中、最後は笑顔で「綺麗にしてくれて有難うございました」と、深々と頭を下げて言っていただきました。